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「ジャン!」
昨日、泣き腫らした瞼の腫れをごまかす為に、必死にタオルで冷やした後、化粧もバッチリにしてきた。
眠れなかったこともあるけれど、
ジャンより早く来て、驚かせようと思ったの。
「フローラ。待たせてしまったのかな?
ごめんね、誕生日なのに。フローラ、誕生日おめでとう。」
ジャンは、両腕いっぱいの花束を渡してくれる。
「ジャン、とても綺麗。ありがとう」
あぁ、やっぱりあなたからプレゼントされる花束は、とっても綺麗。
「フローラ、泣いてるの? ごめん、気に入らなかった?」
「ううん、違うの。嬉しくて」
「気に入ってもらえて良かった。さぁ、泣かないで、ね、フローラ」
花束を侍女に預けて、私はジャンとともに歩きだした。
「今日は、普段の僕とは違うからね。ちゃんとランチの予約をしてるんだよ。驚かせようと思って」
「ふふ。それを聞いてしまったら、驚けないわ」
「あぁ、そっか。そだね。ごめん、なんか緊張して。その。フローラ…今日も綺麗だよ」
真っ赤になりながら褒めてくれるジャン。
「ありがとう。ジャン」
私達は一緒に買い物をして、ランチを食べて、街中を歩いていた。
ふと視線を向けると、気になる看板が目に飛び込んできた。
「占い?」
「ねぇジャン、あそこに行きたいわ」
私はジャンの腕を引っ張ると、占いのお店へと向かった。
「あぁ占いだね。先読みの力を持つ者は珍しいからね。フローラはこういうの怖くないの?」
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