私を忘れないで

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✳︎✳︎✳︎ 「ジャン!」 昨日、泣き腫らした瞼の腫れをごまかす為に、必死にタオルで冷やした後、化粧もバッチリにしてきた。 眠れなかったこともあるけれど、 ジャンより早く来て、驚かせようと思ったの。 「フローラ。待たせてしまったのかな? ごめんね、誕生日なのに。フローラ、誕生日おめでとう。」 ジャンは、両腕いっぱいの花束を渡してくれる。 「ジャン、とても綺麗。ありがとう」 あぁ、やっぱりあなたからプレゼントされる花束は、とっても綺麗。 「フローラ、泣いてるの? ごめん、気に入らなかった?」 「ううん、違うの。嬉しくて」 「気に入ってもらえて良かった。さぁ、泣かないで、ね、フローラ」 花束を侍女に預けて、私はジャンとともに歩きだした。 「今日は、普段の僕とは違うからね。ちゃんとランチの予約をしてるんだよ。驚かせようと思って」 「ふふ。それを聞いてしまったら、驚けないわ」 「あぁ、そっか。そだね。ごめん、なんか緊張して。その。フローラ…今日も綺麗だよ」 真っ赤になりながら褒めてくれるジャン。 「ありがとう。ジャン」 私達は一緒に買い物をして、ランチを食べて、街中を歩いていた。 ふと視線を向けると、気になる看板が目に飛び込んできた。 「占い?」 「ねぇジャン、あそこに行きたいわ」 私はジャンの腕を引っ張ると、占いのお店へと向かった。 「あぁ占いだね。先読みの力を持つ者は珍しいからね。フローラはこういうの怖くないの?」
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