私を忘れないで

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「怖い?いいえ、私は知りたいわ」 「僕はちょっと怖いかな。だって悪いこと言われたら立ち直れないよ僕」 悪いこと…そうね、いいことばかりとは限らないものね。 「ねぇ、ジャン、私一人で入ってもいい?」 「え?別に構わないけど」 「ごめんね。ちょっとそこで待ってて。」 ジャンには、近くのベンチで待っていてもらうことにした。 室内へと入ると、特に変わった雰囲気もなく、普通の部屋だった。 ソファーが設置されていて、向かい合わせに占いの方と座る形だった。 「あの、お願いします」 私は、占い師の方へと声をかけた。 「何の占いをお望みかい?」 フードを被っていて容姿は分からないけれど、声の感じから女性のようだった。 「あの、恋の相談なんですけど」 「結婚相手についてかい?」 「私、今好きな人がいるんです。その人と…幸せになれるでしょうか?」 「漠然とした質問だねお嬢さん。幸せか…いいだろう。彼との未来を見てみよう」 きっと、結ばれない。別れがくる。そう言われるわ。分かってるの。ほんとは。 でも、もし、許されるなら、このまま全てを捨てて━━。
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