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最初、通っていたジムで見かけたのは偶然だと思っていた。しかし様子が違うと気づいたのは、掛け持ちで働いていたバイト先に彼女が現れたときだ。どっちも人に恵まれて楽しい店だったけど、面倒なことになりそうな気がして辞めた。
だから今は、出歩かなくてもいい投資と為替の取引で小遣いを稼いでいる。
話題作りで、向かいの女の子が僕に聞いた。
「実は、彼女いるでしょ」
仮に「いる」と答えたら、斜向かいで日向の話を友達と笑って聞いているはずの彼女はどんな顔をするんだろう。
「いないよ。いたこともない」
「嘘だ。すらっとしててイケメンじゃん」
「ありがとう」
本当にありがとう。
かわいい女子からそういう反応をもらうと、弱気な性根と生活習慣、ともに変えたかいがあると思う。
視界の隅で、こちらをちらっと見た彼女が口角を上げるのが見えた。
近いうちに引っ越したほうがいいかもしれない。
あと一回ーーリトライはないのだから。
了
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