一年前

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一年前

「あ、ーーあの」 一年生合宿の最終日の夜、二日前から気になっていた子に声をかけた。 男子校出身だったから、女子とうまく話す自信がなかったけれど、ここで言っておかないといけない気がしていた。 ひとりになったところを見計らって呼び止めたその子は、振り向くなり目を大きく見張った。 「驚かせて、ごめん」 「……急に、何」 「僕と、付き合ってくれませんか」 予想通り、……いや、予想以上の言葉が帰ってきた。 「こわ。初めて話すのに告白からとか無理でしょ。その前にちゃんと鏡見て、身の程知ったら?」
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