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私は鯉口にも協力して貰ったことを思い出し、野間の顛末を語った。鯉口は今年度から部活に入って来たが大会には参加したいという旨を発言していたのだ。参加出来なくなる旨は伝えなければ。
「ごめんね、手を貸してくれたのに」
「野間、出席する気はあったんだ」
鯉口は意外そうな口振りだった。そうか、まだ鯉口は野間のことをよく知らないんだ。
「野間は時間通りに何かするのが苦手で基本怠惰なだけ。でも、天才なんだ。ほら、これ見て」
私は持ち歩いているデジタルフォトフレームを鞄から出した。
「これ、野間が作ってくれたんだ。中のプログラムもガワもね。超薄型なのに壊れにくい一点ものだよ」
鯉口は私のデジタルフォトフレームを繁々と眺めて突然変な質問をした。
「家永は野間と付き合ってるんじゃ......?」
「ないない。あっ、写真は私のお気に入りのだから、あんまり見ないで!」
鯉口は私にフレームを返した。
そして、思わぬことを言い出したのだ。
「まだ方法がある」
「え?」
「俺は工学部の専門単位互換になる活動を知っている」
鯉口は私とボサツを交互に見つめた。
「一緒に、やるか?」
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