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諦めかけたとき、大会の写真投票が始まって、私は彼女をフレームの中に見たのだ。ラベンダー畑の中で微笑む遠景の彼女の写真は当然、去年の一位になった。私は思わず、優勝校の人に彼女について聞いた。
《あの、北陵大学の家永です。この写真の子に会いたいんです!》
私は初対面の人に彼女について語り出してしまった。その子に助けられて嬉しかったこと、心臓がドキドキするぐらい可愛くて憧れること、写真も凄く良かったこと。
すると、優勝校の男の子は俯きながら答えた。
《来年なら会えるかもしれません》
私はその言葉を信じることにしたのだ。
そして私は写真も沢山撮って練習して、もっと上手くなりたいと思えるようになった。
*
「私、また会って、自分の気持ちを確かめたいんだ」
あの気持ちが恋なのか、はたまた北海道が魅せた幻想なのか私にはハッキリさせる義務がある。だって、あの子の写真を貰って毎日持ち歩くくらいには私は彼女の虜になっているのだから。
「鯉口は?」
これは聞かれたら礼儀的に聞いたつもりだった。
「俺はーー告白」
それは恥ずかしそうで、尚且つ決意したような顔だった。
(えーー?)
初めて見る鯉口の顔に私の心臓は何故か跳ねた。
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