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大会当日
私達4人は無事に北海道の大地を踏みしめていた。
「単位、認められて良かったねぇ」
「サンキュー鯉口! 流石は編入生!」
「ん、別に」
心なしか皆に対する鯉口の態度が軟化した気がする。私はボサツにコッソリ聞いた。
「あれ? 鯉口って編入生だったの?」
「そうだよ。今年から北陵大に来たからね」
何かが引っ掛かる気がする。
*
レクやテーマを決めなどをしながらも、私の心は落ち着かなかった。
(居ない......)
ちなみに昨年の優勝校の写真部は解散したらしい。《撮るべきものがなくなった》のが理由なのだかとか。
ではもう、あの時の三つ編みの子はいないのだ。私は一人、ラベンダー畑でシャッターを切る。あの子が居ないと、映すべき花は何一つないのに。
そのとき、後ろから手を引かれた。
あの時の彼女の姿そのものの美少女にーー。
「ねぇ、なんで俺の写真持ち歩いてるの?」
それは女装した鯉口だった。
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