[短編] あと一回遅刻したら留年なのよ！？

作戦そのニ 〜カード代理〜

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（どうしよう、工学棟、初めてだわ）

　私、家永は教育学部だ。工学棟は教育学棟から少し離れていて用事もないためこの2年間入ったことはない。地図アプリや看板を駆使しながらギリギリ大講義室3を見つけることが出来た。

　講義室の後方、二箇所のドアに向かってまだ列が出来ている。

（男子ばっかり......この列に並んだら良いのかしら）

　私は行列に並んで少しずつ進んでいく列に着いて行く。

（良かった。あの機械に学生証を挿したらいいのね）

　人数の少ない教育学部は出席を口頭で取るけれど、人数の多い工学部は学生証のICチップで管理をしているらしい。
　幸いにもカードリーダーの置いてある場所は無人だ。性別が違ってもバレることはないだろう。

（不正だけど、野間の出席のためだから。一回だけ許してください！）

　私は自分の番に野間の学生証を差し込んだ。

《ピーーーー》

　カードリーダーのエラー音が鳴り響いた。