作戦そのニ 〜カード代理〜

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「えっ、えっと。あれ? えっ?」  パニックになってカードリーダーに何度も学生証を差し込むけれど、エラー音は鳴り止まない。  何人かの学生がこちらを見ている気がする。TAもこちらにやって来出した。教授だって隅っこの方で講義の準備をしていたのに。 (や、ヤバい! バレる!)  後方の人が焦る私の手のカードをすり替えた。 「コレで先行って」 「え? う、うん」  私は渡された学生証をカードリーダーに通して先に進んだ。目立たない後方で、背の高くて体格の良い男子の後ろに陣取った。 (あ、焦ったぁ......)  工学部に友達は居ない。孤立無援の中、知らない教授に怒られる最悪の事態は免れたらしい。
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