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「えっ、えっと。あれ? えっ?」
パニックになってカードリーダーに何度も学生証を差し込むけれど、エラー音は鳴り止まない。
何人かの学生がこちらを見ている気がする。TAもこちらにやって来出した。教授だって隅っこの方で講義の準備をしていたのに。
(や、ヤバい! バレる!)
後方の人が焦る私の手のカードをすり替えた。
「コレで先行って」
「え? う、うん」
私は渡された学生証をカードリーダーに通して先に進んだ。目立たない後方で、背の高くて体格の良い男子の後ろに陣取った。
(あ、焦ったぁ......)
工学部に友達は居ない。孤立無援の中、知らない教授に怒られる最悪の事態は免れたらしい。
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