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私を助けてくれた友人以下の相手は、不機嫌そうに私の隣に座って野間の学生証を返してくれた。私も奴の学生証を返す。サッとメモ帳に文字を書いて、見せてくれた。
『野間の学生証、ICチップが壊れてる。TAに報告して出席扱いにして貰った』
私もノートに返事を書く。
『ありがとう。ーー鯉口』
まさか鯉口が協力してくれるとは思わなかった。いつも無口で、嫌われている気がしていたし、私も実際苦手だと思っていたからだ。
(なんか、トゲトゲしいんだよね)
周囲の男子がチラチラと私を見ている気がする。
鯉口は私にキャップを被せた。私の長い黒髪が目立たなくなる。
『女子は目立つ。被ってろ』
それからの鯉口は真剣で、教授の言葉を一言も逃さないようにとノートを取っていた。
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