18人が本棚に入れています
本棚に追加
作戦その三 〜クラッカー大爆発〜
【一週間後】
A.M.8:15
「へぇ〜、鯉口が」
「そう。こないだ部室に早く行ったら怒られたわ。野間の代わりに講義に出たって何の意味もないって」
「まぁ、どっちの気持ちもわかるけどなぁ」
7月。私とボサツはまた、野間の家の前に居る。野間のICカードは新規発行中だ。代理カードはあるけれど、ICチップはないし、そもそも鯉口の言う通り野間を出席させなければ意味がない。
私は鞄のチャックを開けてボサツに見せた。
「見て、クラッカー用意したの。今日はこれで8:25には野間を起こすわ」
「躊躇しなくなったなぁ」
*
「もうほんとビックリしたんだって」
「起きれて良かったね」
「大成功だわ!」
目論見は成功し、私は無事、野間を起こすことが出来た。初めて3人でゆっくりと工学棟を目指すことができる。
(朝日が、眩しいーー)
実際には7月の9時前の激暑の日差しに朝要素はゼロなのだけれど、今日は一段と清々しく感じた。しかし、ボサツが工学棟までもう少しといったところで立ち止まる。
最初のコメントを投稿しよう!