子猫と

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 見せあう各自の日常はそれぞれが相手に持つ期待を裏切るばかりだったのに、なにかしら取り繕えるはずと期待したばかりに時間を失った。  認めるのをためらっていたのはお互いよく似た優柔不断が存分に発揮されたから。  同居する決断は考える材料など碌になくても下すのは一瞬だったのに、別居するまでに要した時間ではこの先使い物になりそうにない二人の思い出を増やしつづけた。  いや、お互いに譲り合う気持ちだったのか?  どちらがそれを口にするか?  先に言い出すと相手を傷つけるのではと思い、あと一回の我慢を繰り返す毎日。  そして、そうしても、そうしなくても、問題ないと私も悟った。   その事実をお互い認めたと探り出したとき、やっと終わりを迎えた。それには安堵の感情がほんの少し湧きあがった。
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