第4羽 日頃の恨みをこめて

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第4羽 日頃の恨みをこめて

 いやー、実の親に殺されるところだった。危ない、危ない。  さて、外に出たはいいものの、何をすればいいか分からない。  ぐぅーと音を立てて腹がなる。そうか、カラスになったといっても、お腹は空くのか。  よし、朝食とするか。それはいいんだけど、カラスって何を食べるの? やっぱり生ゴミ? それだけは勘弁してほしい。  しかも、今日は可燃ごみの回収日ではない。つまり、生ゴミを漁ろうにも漁れないのだ。 「おい、貴様何をしている?」  声のした方向を見ると、片方の目を潰された歴戦の猛者らしきカラスが電線にいた。どうやらカラスになったことで、カラス語が分かるようになったらしい。 「何って、エサを探しているんですが」 「貴様、ここが俺の縄張りと知っていて、エサを横取りするつもりか!」  いや、そんなの知らんわ! 「そうか、それならば……」  猛者のくちばしが怪しく光る。 「失礼しました」  俺はそう言うと、羽を羽ばたかせて電線から離れる。  生ゴミがダメなら昆虫か? でも、カラスになりたての俺に狩ることが出来るのだろうか。
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