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(そういえば、寝室の事まだ言ってなかったな)
食事を済ませて海に促されるがままに風呂に入ったが、その最中に一番の問題に気付いてしまった。寝室のベッドは一つだけ...海の部屋が空き部屋の時には物置として使っていて其処に布団や使わない雑貨とかを置いていたけれど...
(流石に同じベッドで寝るのはまずいよな...)
しれっと一緒に寝たらどう思われるか。....いや、別に友達同士で一緒に寝るのは全然不自然ではないと思うけど、自分が海を意識してしまっている以上隣で寝たら絶対に邪念が付き纏ってくる。....よし、ソファで適当に寝よう。
身体を拭きながら洗面所を出て、リビングに人気がない事を確認して静かに寝室の扉を開ける。ベッドの左端に縮こまる様にして、ちょこんと丸まって眠る海。もう寝ていたのか。そんなに端っこで寝なくてもよかったのに。
(本当は真ん中に移動してあげたいけれど...起こしたら悪いしな)
起こさない様にそろりとブランケットを掛けて寝室を後にしようと、前のめりになった身体を起こそうとしたその時、くいっと服の袖を引っ張られ視線を下ろすと、目をぱっちり開けた海がいた。「起きてたの、海」とびっくりしながら言うと、彼は真顔のまま「何処に行くの」と聞いてくる。
「リビングのソファで寝ようかなって。海はもっと真ん中で寝ていいよ。後、皿洗いもありがとう」
「....一緒に寝ようよ」
「え」
分かりやすい位に驚いてしまい、海は「嫌なら...いいけど」と気まずそうに服の袖から手を離して寝返りを打つ。寂しいのだろうか。どちらにせよ海が一緒に寝ようと誘ってくれたので乗るつもりだが。
「じゃあ...隣、失礼します」
「ははっ....何で敬語」
此方に背を向けたまま小さく肩を振るわせて笑う海。横になり、海の小さな背中を見つめる。暫くして静かに寝息が聞こえてきた彼に向かって「海」と名前を呼ぶ。
「海はどうしてあの時.....、....」
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