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バスケには二十四秒ルールというのがある。
スローインで入れられたボールを触ってから、二十四秒以内にシュートを打ち、ゴール、もしくはリングにボールが触れなければいけない。
これが勝っているチームなら、残り時間を考えて二十四秒ギリギリ使ってボールを回そうとする。
でも私たちは追う立場。少しでも早くボールを前に進めてシュートして、決めなければいけない。
残り三十六秒。でも焦ったらいけない。
いつも通り。練習の通りやるんだ。
相手のフリースローで放たれたボールが、柔らかな弧を描いてリングへと向かっていく。
でも、微かに軌道がずれている!
「リバウンドッ‼」
うちのセンターはそれ程背は高くない。
だけど抜群のポジション取りと、ジャンプ力がある彼女は、他のチームのセンターにだって負けていない。
ガコンッ!
リングに当たって外れたボールに一斉に向かう中、やはりうちのマヤの手が一瞬早くボールに触れる。
しっかりと抱え込んだボールを、相手に囲まれる前にとパスを出した。
「ハル! まかせた!」
胸元へと届いたボールを、私は自分でドリブルしようとして、すぐ絶妙な位置にミナがいることに気がついた。
「ミナッ!」
このタイミングですでにそこにいるって、確実にマヤがリバウンドとってくれることを信じていたんだね。
スリーポイントラインにいるミナへとパスを送れば、素早いシュートモーションでディフェンスがつく前にシュートが放たれた。
ボールが手から離れた瞬間に、予感があった。
このシュートは絶対に入るって。
ザシュッ! と、気持ちのいい音が響いた瞬間、喜ぶよりも先に、私達は最後の作戦へと全員が配置についていた。
スムーズに攻撃が決まったから、時間はまだ二十四秒ある。
だけど点差は一点差。
そしてこの二十四秒、使い切られてしまったら、私達は負けてしまうんだ。
「取るよ! あと一回の攻撃の為に!」
「マーク徹底!」
まだ勝負は終わっていない。
ここで守り切って早くボールが奪えれば、また私たちの攻撃につなげられる。
最後の力を振り絞って、私達は自分がマークする相手にボールが渡らないよう、徹底的に守備についた。
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