24秒の攻防

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 スローインの指示がされて、私達は必死に食らいついた。  五秒、四秒、三秒、二秒……。  あと少し! そう思ったところで、わずかなスキからボールはスローインされてしまった。 「まだここから!」  ミナの合図で、ボールを持った相手に、私とミナでダブルチームにいく。  相手だって疲れている。  こんなタイミングでダブルチームなんてされたら、相手だってしんどいはず。  ミナと力を合わせて、相手のパスコースを完全につぶした。  あと少し! そうしたらバイオレーションになる。  そう思ったのに、ミナが疲れからか、ガクッと身体が傾いてしまった。  そのすきに相手がすぐさまパスを出す。  やられたっ。  そう思った瞬間、マヤがそのパスコースに手を伸ばした。 「スティーーーールッ!」(※3 )  マヤの動きにベンチが活気づく。  残り時間はもう少ない。  この攻撃を逃してしまったら、次の攻撃はもうない。 「ハルッ!」  マヤが私にとボールを託す。  スリーポイントなら、ミナの方が正確性は高い。  だけどそれを待っていたら相手に追いつかれてしまう。  みんなの思いがこもったこのボール、落とすわけにはいかない。  お願い。入って……!  逆転の願いを込めて、スリーポイントラインの外から、ゴールへとシュートを放った。  時間はもうないはずなのに、そのボールはスローモーションのように、ゆっくりと弧を描き、そしてゴールネットを揺らしてシュートが入った。  残り時間ゼロ。試合終了の笛と同時のことだった。 ※3.スティール…相手のボールを奪うこと。
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