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「は、入った……?」
呆然とする私のもとに、ミナが駆け寄って抱きついてきた。
「ハル――――ッ! 信じてた! 私は信じてたよっ!」
「ハルッ! ブザービーター(※4)かっこよすぎっ! もう、最っ高!」
ベンチメンバーもみんな駆け寄ってきてもみくちゃにされるから、私は実感ないながらも、自分の放ったシュートが決まったんだと、理解した。
「よかった……」
あのままシュートを打ち切れて。
ためらわなくて、本当によかった。
「ミナのおかげだよ。タイムアウトの時に、力をくれたからね」
「なーに言ってるの! みんなのおかげだよっ。みんなで頑張って、みんな全力だったから、勝てたんだよ!」
ミナの言葉に、みんな嬉しいんだけど、勝ってホッとした気持ちと、色んな気持ちがこみあげてきて、なんだか泣けてきてしまう。
「ちょ、ちょっとやだー! まだ泣かないでよ。 まだ次! 次の試合があるんだよ!」
そうだ、あと一回。また試合ができるんだ。
「よかった。また試合ができる」
負けたら終わりのトーナメント戦。
残酷でもあるけれど、勝つことがこんなに嬉しいのもトーナメント戦ならではなのかもしれない。
「……次も、勝つよ!」
ミナの言葉に、みんな今度は笑顔で大きく頷いた。
どこまで勝ちあがれるかはわからないけど、後悔の残らない試合にするために、次の試合も全力で頑張るんだ。
そう気合を入れて、円陣を組んだ。
肩を組んでるその背中から、肩に乗せられる腕から、みんなの気持ちが伝わってくる。
一つでも多く、試合をできますように。
心からそう願った。
※4.ブザービーター…試合終了直前に放ったシュートが笛と同時もしくは直後にゴールすること。
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