24秒の攻防

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「は、入った……?」  呆然とする私のもとに、ミナが駆け寄って抱きついてきた。 「ハル――――ッ! 信じてた! 私は信じてたよっ!」 「ハルッ! ブザービーター(※4)かっこよすぎっ! もう、最っ高!」  ベンチメンバーもみんな駆け寄ってきてもみくちゃにされるから、私は実感ないながらも、自分の放ったシュートが決まったんだと、理解した。 「よかった……」  あのままシュートを打ち切れて。  ためらわなくて、本当によかった。 「ミナのおかげだよ。タイムアウトの時に、力をくれたからね」 「なーに言ってるの! みんなのおかげだよっ。みんなで頑張って、みんな全力だったから、勝てたんだよ!」  ミナの言葉に、みんな嬉しいんだけど、勝ってホッとした気持ちと、色んな気持ちがこみあげてきて、なんだか泣けてきてしまう。 「ちょ、ちょっとやだー! まだ泣かないでよ。 まだ次! 次の試合があるんだよ!」  そうだ、あと一回。また試合ができるんだ。 「よかった。また試合ができる」  負けたら終わりのトーナメント戦。  残酷でもあるけれど、勝つことがこんなに嬉しいのもトーナメント戦ならではなのかもしれない。 「……次も、勝つよ!」  ミナの言葉に、みんな今度は笑顔で大きく頷いた。  どこまで勝ちあがれるかはわからないけど、後悔の残らない試合にするために、次の試合も全力で頑張るんだ。  そう気合を入れて、円陣を組んだ。  肩を組んでるその背中から、肩に乗せられる腕から、みんなの気持ちが伝わってくる。  一つでも多く、試合をできますように。  心からそう願った。 ※4.ブザービーター…試合終了直前に放ったシュートが笛と同時もしくは直後にゴールすること。
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