俺の宝物(竹田side)

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俺の宝物(竹田side)

「元気でな。」 「先輩もね。」  俺たちの最後は結構あっさりしたもんだった。  卒業式最後の日。  胸ポケットに花を飾った卒業生たちが捌けてがらんとした校内。  アリーナで最後に集まって、バスケ部のみんなで記念写真をとった。  宮野もカイも俺も、顧問の先生も、後輩たちも。みんな目をはらして泣きっ面の記念写真。  だけど俺の涙はきっと、卒業の別れを惜しむ涙なんかじゃなかった。  後悔の涙。  最後の日に気づいてしまった手遅れの恋の悔し涙。  こんなにも俺、マジで好きだったなんて知らなかった。悟のこと。  悟の濡れた目が俺のために流した涙だったらいいのに。なんて自分勝手なことを思ったりしてる。  だけど悟は、あの子とちゃんと幸せになって貰いたいから…。  あの頃の思い出と共にこの日の俺の想いを閉じ込めたこの集合写真が…  俺の唯一の大切な宝物__  今でも時々ふと思い出したようにベットのそばのそれを手に取り眺めると、懐かしいあの頃の事が、ついこの間の事のように思い出され、今でも想いが涙となって溢れ出る…。  高校を卒業した俺と悟との時間はそこでぷっつりと途絶えた。はずだった…。
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