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「おい、俺がどうしたって?」
「わ!噂をすれば竹田先輩じゃん!」
「なんだよ、そんな驚く?」
「わー。愛しの俺の悠祐チャン♪会いたかった♪」
相変わらず容赦なく悟が俺に絡んでくる。
「マジで久しぶりすぎて、先輩の顔みただけでイキそうになったわ。」
「アホか!」
ペシッと頭を叩くと悟は嬉しそうにペロッと舌をだす。
「先輩!マジこいつ絞めてやって下さいよ!今の今、俺でもイケるとか言て腰くっつけてきたんっすよ。ホントふざけすぎだから。こいつ」
「おーい、そんなのジョークに決まってんだろ柴咲チャン。」
「悟さ、そんなに溜まってんなら、今フリーなんだし、薫と付き合ってヤッちゃえよ。向こうはおまえが好きなんだし。」
今…フリー?ってことは、やっぱりいたんだ。悟に彼女…、って、軽くショックを受けてる。俺…。
「ヤリ目かよ、それサイテーだな、柴咲チャン」
「お前がそれ言うか。このヤリチンやろうが。」
ん?ヤリチンだと?ヤリチンて言ったか?悟が?
「俺はそんな理由でだれかと付き合ったりしねぇよ?これでもユウカとはちゃんとマジで付き合ってたし。」
「でもお前、なんかすぐ別れるじゃん」
「なんか…、つづかねぇんだよな…。」
やっぱりそうなんだ…。ていうか、なんで俺がソコでショボンとしてんだよ。
「薫はお前にマジみたいだぜ?」
「てか、そんなやつ知らねぇし。話したこともねぇわ…」
「え?話してたじゃん、花火ん時…」
へぇー、こいつら花火行ったんだ…。俺、誘われてねぇ…。なんて。なにいじけてんだよ、俺…。
「マジ?記憶ねぇわ…」
「やっぱお前、サイテーだな。あんなに思わせ振りなことしといて」
「してねーわ」
「してたじゃん、レジャーシートに直座りだとケツいたくなるって、自分のバック貸してたじゃん、ここ座りなって、自分の隣に座れって誘ってたじゃん」
「え?俺、誘ってねぇし?てか、そんなの覚えてねぇし」
悟と柴咲の会話を聴きながらバスケのボールで遊ぶふり。耳はしっかりそっちを向いてる。興味なんか無い顔して。しっかり話しは聞き耳たててる。
「これだからお前みたいな無自覚ヤローは困るんだよね、そんな事されたら誰だって勘違いしちゃうだろ?俺の隣に座れとか。」
「別にそんなつもりじゃなかったんだけどなー」
「そのお前の無意識なやつ、チョイチョイ無駄に優しいからな。俺でもたまにドキっとするもんね。だからって俺でもイケるとか言うなよ、マジでドキッとするわぁ」
目に浮かぶ。そうそう。悟はそういう奴だ。思わせ振りだし、人タラシだし、無意識なくせに無駄に優しい。
うんうん、そう。たまにドキッとさせられる。
なんて頷きつつ…。
さっきからなんだかこいつらのこんな会話がなんとなく俺は面白くない…。
「おい、今日はそんな下らない話を聞きに来たんじゃねぇ。了は?あいつにみっちりシュート仕込んでやろうと思って来てやったのに」
「あ、了は今日は委員会っす。図書委員だから。あいつ。」
「んだよ。空振りかよ」
なんて。話をそらしてたけど。なんとなくまだ俺の胸がモヤモヤしてる…。
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