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Ⅱ
……なんてことだ。
短時間に立て続けに間違えすぎて、スマホ側から最後通告をされてしまった。もしあと1回パスワードを間違えれば、スマホの契約会社側から遠隔で画面ロックが掛けられてしまい、スマホ自体の使用が不可能となってしまう。
そうなれば当然、私が解錠チャレンジを仕掛けたことがバレてしまう。
……でもまあ、もしそうなったとして、私にとって悪い話ではない。
退路が断たれるわけだから、私は自分が不安に感じている浮気疑惑について、アツヤに直接問い詰めることになるだろう。勇気が出なくてイジイジとスマホを盗み見ようとしているより、余程建設的ではないか。
私は半ば開き直って、ここで退かずに最後のパスワード入力に望む決心をした。潔いのか悪いのか、非常に曖昧な自分の行動に自嘲しながら。
どうせなら最後の1回のパスワードには、自分の願望をぶつけてみようじゃないか。希望的観測に基づいた数字を入力してやろう。どんな結果になっても後悔しないようにだ。
私は、付き合い始めた記念日である年月日を6桁で入力した。
3年前の7月23日。大学が夏季休講に入ったあの日、花火大会の行った、思い出のあの日付だ。
『210723』
数字をタップしてエンターを押すと、そこにはスマホのホーム画面が表示されていた。
つまり、ロックを解除することが出来たのだ……!!!
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