亀の恩返し

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「助けていただいてありがとうございます」 亀がそう喋った時、ドッキリだと思った。 本物の亀だと思ったけど、作り物だったんだ どっかにマイクが仕込んであるんだ きっとカメラも仕込んであって、驚く私の顔を撮ってるんだな 「お礼に竜宮城に連れて行ってあげます」 と言われた時も、まだ冗談だと思った。 だって私、浦島太郎じゃないし。 とりあえず言われるままに浜辺まで亀を運んでもまだ 「ねえ、私より全然、小さいじゃん。背中に乗れないよ」 なんて私は言ってた。 「大丈夫です。しっかり甲羅を握ってて下さい」 って言われて、亀がグングンと海の中に入って行って、私はビート板にしがみついている子どもみたいになって、どんどんと海の奥深くまで潜っていって、だけど私は息が出来てて、これはドッキリじゃないってやっと気づいた。 だけどドッキリじゃないなら、何?
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