ep6_思い通りにいかない、それが人生。

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覚悟は決めたものの恐る恐るといった様子で教室の扉を開けば、今の今まで騒がしかった教室が一瞬静まり返り千里に視線が向く。 しかしそれもすぐにいつも通りの雰囲気に戻り、高校生にもなって露骨に噂話をすることはないかと胸を撫で下ろした。 そんなみんなの様子に三毛門とは軽く視線を合わせてから、千里は自席へと腰を落ち着けると、周囲には聞こえないくらいの小声で昨日あったことの詳細を三毛門に話した。 ◇◇◇ 「...お人好し」 「えっ...、いや...なんていうか、不可抗力?」 「それで不良に弟子入り申し込まれてたらザマないじゃん」 「まあその話もちゃんと断ったからさ。俺ミケの世話で忙しいし」 「...」 一通りの話を千里から聞いて、三毛門は深くため息をつく。 そしていつものように無意識に自分中心に生活を考えてくれているらしい様子に、三毛門もそれ以上強く出ることもできない。 「...千里、俺がいるってこと忘れないで。もう今は千里だけの問題じゃない。千里が関わるってことは俺も関わるってことだから」 「...え」 「俺、千里の傍離れる気ないもん。だから面倒ごとにわざわざ首突っ込みにいかないでよ。千里は俺だけのこと見てくれてれば良いの」 「...っ...、ミケのデレで胸が苦しい...」 「...ばっかじゃないの」 真面目な話をしているのに千里は大きく目を見開いたかと思うと顔を赤くしてすぐに手で隠してしまう。 そんな反応をされるとは思っていなかった三毛門は、千里の言葉にどきりとしてしまった。 「...ミケ」 「なに?」 「俺、やっぱ困っている人がいたら放ってはおけない」 「...」 「だけど、俺の中の最優先はミケだから。...次から関わり方とかそういうのすげぇ気を付けるし、善処もする」 「...わかればいいよ」 千里が自分のことを一番に思ってくれていることは普段からよくわかっている。 それに千里の性格も。 だからこそ三毛門はそれ以上千里に何かを言うこともなく、未だに手で顔を覆って俯いている千里の髪を照れ臭そうにぽんぽんと撫でた。
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