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───あぁだめだ。やっぱ好きだ。
千里から借りたカーディガンを着込めば、それはもう暖かい。
それと同時に、いつも千里といると無意識に生じる鼓動の高鳴りに、思わず唇を噛み締める。
「...ミケ、どした?なに突っ立ってんの。寒いから早く来いって」
「...うん」
「今日うちすき焼きなんだよね〜。羨ましいだろ」
「別に」
「素直に羨ましいって言えよ、ほんとミケは素直じゃないんだから」
そう、俺は素直じゃない。
この気持ちにも、千里にも。
だけど心の奥ではずっと、その存在を想っている。
「...俺は今日カップ麺」
「え、まじで言ってる?今日おばさん夜勤か」
「うん、そう」
「だったら夜ミケんち行くわ。窓開けといて」
「...泊まってく?」
「うんまあ。こう見えてミケ寂しがり屋だし」
とことん飼い猫に甘い千里は今日も三毛門の欲しい言葉をくれて、その様子に思わず頬が緩む。
そうと決まれば早く帰ろうと千里は先を行くので、ミケはゆっくりとその隣に並んだ。
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