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「それで、鷹野くんもよかったら来ない?俺あんまり喋ったことなかったけど、鷹野くんって謎に包まれてるし結構気になってたんだよね」
「...行く!行きます!」
「あはは、やった。じゃあ今週の土曜よろしくね。あとで詳細連絡するから」
「うん、わかった。よろしく」
週半ばの昼休み。
千里との昼食を終えて一人トイレへと席を立ち教室へと戻ってくれば、何故だか千里の席に池井がやってきている。
最後の方のやりとりを聞いた三毛門は「俺のいない間によくも...」と内心不穏な気持ちになりつつ、池井と話したことで頬が緩みまくっている千里の元へと駆け寄った。
「...千里」
「ああ、おかえり」
「池井になに誘われてたの。土曜になんかあるわけ」
「...へへ、うん。池井くんちでみんなと勉強会やるから俺も来ないかって」
「勉強会...」
勉強なんて集まらずに一人で黙々とやればいい。
それになんで今さら関わりのあまりなかった千里を誘うんだ。
そしてこの様子じゃ、千里は「池井からのお誘い」に意気込んで参加することだろう。
「...土曜俺も行きたい」
「え、まじ?でもミケこういう集まりあんま好きじゃないでしょ」
「千里がいるなら話は別」
「んーそっか、そしたら後で池井くんにミケも行くって伝えとくわ」
抜け駆けなんてさせてたまるか。
千里は池井に対して何故か憧れを抱いているが、今までは傍から眺めているだけで直接関わることなんて滅多になかった。
それが今回の件で関係性が深まり、さらにその想いが強くなってしまったらと思うと、居ても立っても居られない。
「てかいつ連絡先なんか交換したの」
「え、いまさっき」
「...チッ...俺のいない隙になにしてくれてんのまじで」
「は?いいだろ連絡先くらい。なんでそんな怒ってんだよ」
「別に怒ってない」
自身の起伏の少ない感情が乱されるのは、いつも千里に関わることだけだ。
今日もそれは例外ではないらしく、「惚れた俺の身にもなれよ」と心の中で文句を言うことしかできない自分が情けなくなった。
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