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「あーまじ疲れた。気疲れ半端ねぇ。もう当分ああいう集まりはいいや」
「念願の池井に近づけたのに?」
「んー...まあ。行く前は浮かれてたけど、やっぱ実際話すとなると気遣うよなぁ。遠くから眺めてるくらいがちょうどいいのかも」
「...ふぅん」
そうか、それなら良かった。
やっぱり千里は俺の隣にいるのが一番いい。
勉強会も解散になり帰路へとついた頃に千里からはそんな嘆きがあって、三毛門はそれとなく相槌を打ちながらも内心どこか安堵していた。
「ねぇ千里」
「なに?どした」
「手、貸して」
「...手?はいよ」
疲れ切っているらしい千里は、池井達と過ごしていた時に言っていたとおり癒しを求めているはずだ。
あの時は人の目があったため軽く受け流してしまったが今は違う。
三毛門は差し出された手を優しく掴むと、道の端に寄って足を止めてから、その手を自身の頬へと持っていった。
「...今日はいくらでも撫でていいよ。千里、俺に癒されたいんでしょ」
「...っ...、...は..」
「なに?癒しいらないなら別にいいけど」
「...!い、いる!いります!」
三毛門の唐突なデレに千里は目を見開いて固まり、こんな機会を逃してたまるものかというように三毛門の問いかけに前のめりに反応した。
「...あーもう、くっそ...」
───...いくらなんでも、可愛すぎるだろ。
うちの猫は時たま破滅的に愛おしい。
そんなことを考えながら、千里は三毛門の頬と髪を心ゆくまで撫でた。
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