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「....」
「なに千里、今日は妙に大人しいじゃん」
「...あ?...いや別に。つかそれだといつも俺がうるさいみたいだろ」
「うるさいでしょ。俺の言葉いちいち拾ってツッコミ入れてくるし」
「それはミケがツッコミどころ満載のことばっか言うからだろ」
週も明けて数日経った木曜日。
千里は三毛門とともに学校へと向かっていた。
今日も今日とて冬の容赦ない風が吹き付けて、今週からつけ始めたマフラーに顔を埋める。
「つーかさ、やっと少しは冬らしい格好になったのはいいことだけど、そろそろ俺のカーディガン返せよなぁ」
「これ着やすい。俺にちょうだい」
「...まーたそうやって俺のものパクる」
「千里にオッケーもらってるしパクったことにはならないでしょ」
「...んー。まあいいや、今度はグレー買うかな。それやるからちゃんと毎日着てこいよ」
正直、三毛門のこういう自分中心なところも可愛いと思えてしまう。
別に他人に振り回されることが好きなわけじゃない。
でも相手が三毛門なら大抵のことは許せて、これも惚れた弱みなんだろうと納得せざるを得ない。
それにしても昨日の夜から体調が芳しくない。
三毛門に「今日は妙に大人しい」と言われることは解せないが、これも体調不良が原因だ。
「...早く学校終わんねぇかな、だりー」
「まだ始まってすらないのに何言ってんの。てかそれならサボる?」
「サボるわけないだろ、俺は真面目な生徒なんですー」
「あっそ」
「...あっそ、ってお前なぁ...」
三毛門と話してみると段々普段の調子も取り戻せてきた気がして、この分なら問題ないだろうとぼんやり考えながら通学路をひたすらに歩いた。
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