ep1_幼馴染は猫。

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「....あぁ、池井くんだ。今日もかっこいい...」 「どこが。俺ならワンパンでいける」 「ちょ、なに池井くんにワンパンしようとしてんの。つかそんなの俺が絶対許さない」 「...あんなヒョロガリのどこがいいわけ。俺にはあれの魅力がまったくわかんないんだけど」 月曜の朝。 教室の窓から校門を眺めていれば現れる憧れの人の姿は、今日も麗しい。 思いのままに千里(せんり)はそう呟いてみるが、目の前に座る幼馴染の三毛門(みけかど)は不服そうに眉を顰めて文句を垂れた。 しかしこれもいつものことだ。 「ミケ、なんでわかんないんだよ。あの憂いを帯びた目、優しげな表情、おしとやかな立ち振る舞い...何を取っても完璧でしょ」 「どこが」 「だからそれを今説明してやったんだろうがよ!」 千里と三毛門は小学校からの長い付き合いになる。 元々は千里も吹っ掛けられた喧嘩に明け暮れ、見た目こそ世間一般的にいう「不良」そのものであったが、中学3年の夏に池井と謎の初対面を果たし、そこから「俺もああなりたい」というこれまた謎の思いで更生の道を選んだ。 その結果、今は池井と同じ高校に通えているし、クラスメイト達からも「普通の生徒」として認識されている。 今までの素行を考えたらプラマイややマイナスかもしれないが、自分としてはよく頑張ったと思っている。 「...高校デビュー野郎」 「...あ?...うるさいよ三毛門クン」 「三毛門じゃない。ミケ。」 「ああ、はいはい。ミケね。ミケミケ」 更生したとて、何かと文句を言われたとて、昔から一緒にいる三毛門と連むことをやめる気は毛頭ない。 本人には言わないが、千里にとって三毛門は大事な存在であることに変わりはなかった。
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