ep1_幼馴染は猫。

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「千里、帰る。早く」 「もう少しちゃんと文章作れないかな?」 「早く帰ろう」 「ああ、はいはい」 三毛門は昔から喜怒哀楽が表情に表れずらい。 そして話す言葉も端的というか、カタコト染みているため、とりあえず何を考えているかよくわからない。 しかしそれももう慣れたことで、千里は早く早く早く...とぶつぶつ唱えている三毛門に促され鞄を手に取り立ち上がった。 「...」 「...どうしたの」 「いや。...ミケ、みんなからミステリアスな中性イケメンって言われてんの知ってる?俺そんなこと言われたことないのに...」 「知らない。てか千里は見たまんまだからでしょ。それに二面性で言えば喧嘩強いし裏の顔あるじゃん」 「....ちょ、やめろやめろやめろ...!隠してんのにもう..!」 なんとなく最近よく周囲で聞くワードを出してみれば三毛門は珍しく口角を上げて悪戯に千里の過去の話をし始める。 それをひた隠しにして高校生活を送っている千里は突然の暴挙を慌てて止めて、余計なことを言ってくれるなという思いを込めてじとりとした視線を向けた。 「あ、そうだ。そういうことすんなら甘えるの禁止にするかな」 「...え。それは無理。ごめん」 「折れんの早。よっしゃ、今日は帰ったら何すっかなぁ」 三毛門は何故か、これを言うといきなり弱気になる。 掴み所のないまるで猫のような三毛門の扱いも手慣れたもので、千里は逆転した立場ににんまりと笑みを浮かべた。
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