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「池井くんって一匹狼って感じだよね」
「は?どこが。いつも周りに人いてチャラついてるじゃん」
「なんでそうマイナスな言い方するかな。わかんない?ほら、人には囲まれてるけど一線引いてる感じ。周りからも一目置かれてるしさ。なんかかっこいいよなぁ」
「それで言うなら俺の方が一匹狼っぽいじゃん」
帰り道、再び突拍子もなく池井について話題に挙げれば、三毛門は呆れたようにため息をついてそんな言葉を口にする。
そしてその先にはなぜか張り合うのかのような言葉付きだ。
それを聞いた千里は、まあどちらかと言えばミケの方が一匹狼かと思いつつも、口を開く。
「ミケは狼っていうか猫だよね。そう、一匹猫?」
「なにそれ弱そ。てかそれじゃただの1匹の猫じゃん。嫌なんだけど」
「いいじゃん可愛くて。でもミケの隣にはいつも俺がいるから1匹ってわけじゃないか。そしたらただの猫?」
「俺はミケ」
「ああはいはい、そうだね。ミケはミケだわ」
今日も内容のない会話をして、あまりのアホさ加減に笑みが溢れる。
昔から変わらないこの緩さは気楽なもので、学校だと綻びを出さないようにと気を張っている千里にとってはありがたいことこの上ない。
「帰ったら課題やろっと」
「いきなり話変わりすぎ。しかも真面目か」
「当たり前でしょ、俺無理して学校入ったんだから勉強しないとまじでやべーの。この前も赤点ギリギリだったし」
「俺より勉強してるのに、俺より成績悪いのほんと笑えるよね」
「笑えねぇよ馬鹿」
そんな会話をしながら、今日も穏やかな時を過ごして家へと帰った。
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