ep2_飼い主は猫のもの。

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「あの、鷹野くん...あたしね...」 「う、うん」 「ずっと好きだったの!....、」 ───.... 「で、なんだったの。やっぱ告白?」 「...え。ああいや、うん。まあね」 「ちゃんと断ってきたわけ」 「えっと、その....断るっていうかなんていうか...」 「あ?まさか断ってないの?朝言ってた言葉はなんだったわけ。ありえねぇんだけど」 こう断れば相手を傷つけないかな、なんてことをあれこれ考えながら昼休みに意気揚々と呼び出しの現場へ向かってみれば、それが自身の盛大な勘違いであったことを悟った。 そして教室へと戻ればすぐに三毛門に詰められ戸惑いながら受け答えしてみれば、最後には明らかに怒ったような声色で睨まれる。 「ちょ、待って。怒んないで。事情が...」 「事情?なに、なんなの」 「...あー...っと、まあ...言いにくいし、すげぇ恥ずかしいんだけど...」 「いいから早く。もし本意じゃないまま流れでそうなったんなら、俺がすぐに別れさせてあげるから」 「いや、うん。結論から言うと、告白が俺じゃなくってミケ宛てだった」 「は?」 千里の言葉に、三毛門は意味がわからないとでも言うかのように眉を顰める。 しかしそれも仕方ないだろう。 つまりは岡田は三毛門のことが好きで、いつも一緒にいて三毛門よりかは話しかけるのにハードルの低い千里へと接触を図ってきたわけだ。 地獄のような空気感の中躊躇いの気持ちも生まれるが、それでも岡田から託されたものを渡さなくてはと千里はポケットに手を突っ込んでから差し出す。 「なにこれ」 「岡田さんからの手紙。ミケに読んでほしいって」 「千里を使ってこれを俺にって?ふざけんなって感じなんだけど」 「まあまあ...。ミケ話しかけづらい雰囲気あるの俺もわかるし、行動起こしただけでもすごいじゃん。ね?」 「本当に好きなら直接くるでしょ。俺そういうの無理」 「ああそう...まあそういう考えもあるよね。うん」 三毛門はその見た目とは裏腹に昔から義理堅く硬派だ。 その分融通も効かなくて、ドンマイ岡田さんと心の中だけで今日出会ったばかりの女子を労る。 「じゃあちゃんと断っときなよ。岡田さん今待ち状態で、ずっとそわそわさせとくの可哀想だし」 「めんどくさい。それに千里を平気で利用するようなやつと話したくない」 「変なとこで俺想いなとこ出さなくていいの。そしたら今日の放課後にしよ。こういうのは早い方がいいから」 三毛門は他人には驚くほど冷たい一面を見せることが多い。 千里に対してはそんなことがないというのがまた猫らしさを引き立てていて、今日もそれは変わらないかと苦笑いする。 千里が逆毛をたてている三毛門を宥めるようにそう説得すれば、三毛門は不服そうにしながらも「しょうがないな...」と呟いて前を向いて座り直した。 「ミケ、お断りの会を終えたら今日は俺とデートしよ」 「...!」 「今朝ばあちゃんがファミレスのクーポンくれたんだよ。今日はこれで豪遊な」 「...うん」 なんだかんだ俺のいうことを聞いてくれる三毛門にそう言って背中越しに肩にクーポン券を叩きつければ、三毛門は振り返ることもしないまま肩に置かれたクーポン券を受け取った。
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