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⑥「占事略決」
「突然、遠方まで申し訳ない。」黒い眼帯のシンゲツがイザナキの地の援軍をねぎらった。
「前代未聞の大失態…とはいえ、あんな取られ方をしたら誰も責めれない。あれが新型の”ターシャリ”と呼ばれる妖怪の仕業なんですかね?」
ミカヅキが応えた。
「確かに、姿を消したまま持ち去った実行犯は”ターシャリ”かもしれないが、あいつらは神器の価値など知らないはずです。
裏でアイツらを操っている黒幕が居ると考えた方が自然かと…。」シンゲツはそう応えた後、
「ヤシャ殿は”六壬式盤”を操れると聞いております。神器の行方を追えませんか?」
「自分でも最初にそれをやってみたが、見事に足跡が消されていて、自分1人では無理でした。イザナミでは”式盤”の占いが得意な人は居ないのですか?」
ヤシャがそう言うと、
「”陰陽寮”から”ハチノス”を呼びましょう。彼も得意なのは占術なのですが、やはり1人では無理でした。ですがすぐ呼びよせます。」
しばらくして子供が1人陰陽師班の部屋に入って来た。
「彼が”ハチノス”です。以前戦った魔物の呪いのせいで子供の容姿をしてますが、中身は大人です。イザナミの陰陽寮の中では占術のエキスパートです。」
「初めまして。ハチノスです。ヤシャ殿のお噂は聞いております。相手も足跡を消すのに相当な呪術を使っているようで、1人では行方を特定できなかったですが、2人で”陰”と”陽”に分けて式盤を操れば行方を追えるかもしれません。」
ヤシャとハチノスの両名が、”六壬式盤”の両サイドに別れて座り、”天盤”をヤシャが、”地盤”をハチノスが呪詛を唱えながら”八尺瓊勾玉”の行方を探索した。
式盤の上の占術専用の石が、光を放ち徐々に式盤から浮かび上がった。
「ハチノス殿、これは…、まさかこんな近くに…。」
「だいぶ凶悪なのが見えますね。神器3つはかなり凶悪な”ターシャリ”が持ち去ってるのでしょう。おそらくは誰かの指示のはずです。まずはこの石の指し示す場所へ向いましょう。」
「神器を任されてるくらいだから、相当の強者でしょう。このまま現場へ向かいますが、皆ぬかりなく。」
石が指し示した場所に確かに”八尺瓊勾玉”を抱えた 窮奇のターシャリが鎮座していた。
「ほう、ここが分かったとは…。合体した百鬼の”煙々羅”の力で姿は見つからぬものと思っていたが…。お前らに八尺瓊勾玉を返す訳には行かない。
式神ごときがどれだけ来ようが余には勝てぬ。」
ミカヅキが「陰陽師班は式札で式神を、陰陽寮の皆は霊剣に呪術を纏わせてコイツをつぶす。」
ハリネズミの猛牛の化物である、窮奇と陰陽師の戦いが始まった。
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