転生して二度目の結婚生活!孤児院育ちの奥様は身分違いの旦那様の凍った心を溶かしたい!

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 せっせと私は城のような屋敷の中を住みやすく、心地よくしようと毎日働いていた。廊下も部屋も蜘蛛の巣の数が減ってきたし、ホコリもなくなってきた。なんだか達成感がある。  ただ、入ってはいけないと言われた西の部屋の鍵がかかった部屋だけは入っていない。何があるのか気になるけれど……掃除の途中につい好奇心から足を止めてしまう。ただドアを見つめているだけだけど。  この部屋に何があるのだろう……?なんて、じっくりと考える暇はあまりなかった。  私は屋敷の中だけでなく、荒れた庭も剪定したり草をとったりし、庭らしく復活させている。  だんだん人が住むに相応しい家になってきたと思う。要塞だわと思った屋敷は花が飾られ、窓は開け放たれて新鮮な空気が毎日入れて清々しい。  今日は庭仕事の続きをしていると、歩いてきた一団がいた。ガヤガヤと賑やかな男の人達。 「ん?新しいメイドか?」  私に気づく。 「いや、待てよ?アデルバード様が奥様を娶ったって聞いたよな?」 「え!?まさか北の魔王の妻がこんな冴えない娘を!?」 「どうみても平凡な女だぞ?違うだろ!?」  北の魔王!?私は自分がけなされているよりも、そっちのほうが気になってしまった。 「アデル様は北の魔王と呼ばれているのですか?」  はあ!?知らねーの!?ありえない!と馬鹿にされる。 「頭もよくなさそうな女だな。アデルバード様はその強い力と勇敢に戦う姿から、そう呼ばれている。北の魔王ってな!」 「魔物を蹴散らす姿はマジで魔王だよなあ!」 「一人で突っ込んでいくこともあるしな。スゲーよ」  それは無謀な戦い方です!なんて危険なことを!と私は言いたかった。なんでそんな死に急ぐような戦い方をされているのよ!?  私はグッと拳を握りしめる。 「どうか旦那様を守ってください。よろしくお願いします」  深々と私は頭を下げた。目を丸くする人達。 「ま、まぁ、それが俺たちの仕事だしな」    戸惑いを隠せず、顔を見合わせる男たち。  さて……私は作業を続けよう。やることは山ほどある。ヨイショと木の枝を持ち上げる。 「お、おいっ!それ持てるのかよ!?」  ん?と私は大量の切った枝を持ったまま振り返る。 「重くないのか!?手伝うぞ!」  大丈夫ですよ~と余裕のある私の様子に、男たちはえっ!?と呆気にとられる。 「軽いものです」  もう1つ太い枝をのせて、私は軽々とした足取りで歩いて行く。 「か、怪力すぎるー!?女があの量の木の枝を持てるとか!?おかしいだろ!?」  後ろから声がする。……また怪力女と認定されてしまった。でも便利だし、助かるスキルなのよね。別に卑下するところじゃないわよね? 「なにをしているんだ!?」  枝や草を集めて置く場所にしている裏庭に行くと、アデル様が声をかけてきた。 「え?庭を綺麗にしてます。伸び放題だし……」 「それは見てわかる。腕をみせろ」  私の両腕の袖をバッとめくる。無数の枝がひっかかり、血が滲んだ赤い線があった。私は慌てて隠そうとしたが、アデル様は腕を掴んだ手は力強い。私の力でもふりほどけない!?……なっ、なんで!? 「こんなことだろうと思った」 「このくらいの傷は平気なんです……すぐ治ります」  なにかの言葉をアデル様は口の中で呟いた。淡く白い光りが腕を包み込み、スウッと消えていく傷。治癒の魔法をかけてくれたようだった。 「えっと……ありがとうございます。私、人より治癒の力が強いんです。どうせ明日には治る傷なのですから、治して頂かなくても我慢できるんですよ?」  無駄に魔力使わせてしまった……。 「それでも傷の痛みはあるだろう。我慢するものじゃない。気をつけろ」  そう言って、フイッと身を翻して行ってしまう。気遣ったの?私を?  しばらく私はその場から動けなかった。  なんだかドキドキする。この胸の鼓動は……セレナとガルティン様の夢を見たときとよく似ていた。
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