転生して二度目の結婚生活!孤児院育ちの奥様は身分違いの旦那様の凍った心を溶かしたい!

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「奥様!?」 「なにをされてるんですか!?」  メイド達がそう叫ぶ。私の手にはハタキ、ホウキ、バケツ、雑巾の掃除道具。見つかってしまったのは、階段を拭いていた時だった。 「メイドが少ないのだから、少しでも手があったほうが良いでしょう?私は慣れてるから大丈夫よ。なにかしてほしいこと、ないかしら?」    「だめです!アデル様にあたしたちが叱られます!」 「アデル様は私に好きなように過ごして良いと言ってくれたわ。だからそうしているのよ。気にしないでいいの。人手が足りないのだから、あなた達と一緒に頑張りたいのよ。快適に過ごせるようにしましょう」  そう言ってる間も私は手を動かし、階段を拭き終わる。 「蜜蝋ある?階段掃除の仕上げをしたいわ。あと、長いホウキを探してるの。高いところの蜘蛛の巣がとれないのよ」  ポカンとしているメイド達。  広い城のような屋敷の掃除は本当に大変だった。メイド3人では手が回らないのもわかる。私も休むことなくしたけれど、なかなか終わらなかった。    「城の中が一日でピカピカです。ですが、そろそろおやめになったほうが……」   「奥様は体力あるんですね。疲れてないんですか!?」    夕方、窓を磨いていると、そう言って心配してくれるメイド。 「私、けっこう体力あるの」  さすがに腕や腰が痛くなっていたけれど、そう言って笑うとメイド達がペコリと頭を下げる。 「奥様の気持ち……わかりました。ホントにそろそろお止めください」    なぜか泣きそうなメイド達。な、なんで!? 「そうね……もうそろそろ夕飯だし、アデル様をお迎えする用意を……」  そう私がそう言った瞬間だった。 「なにをしてるんだ?」  メイド達がヒィッと小さく悲鳴をあげた。アデル様がいつもより早く帰ってきたのだった。私は窓掃除をやめて、足をかけていた窓枠から飛び降りようとして……その反動で前のめりになり……メイド達が叫ぶ。 「奥様!」  コケる!そう思った瞬間、アデル様が危ない!と声をあげて、私の体を抱きとめる。 「なにをっ……してるんだっ!?怪我をするところだっただろう?」 「ご、ごめんなさい。大丈夫です。私、頑丈なので、多少ぶつけてもすぐ治りますから……」  そんな問題じゃないだろうと、怒ったような口調になるアデル様。私はハッ!とする。アデル様の腕の中にいることに気づいた。自分から抱きつくような感じになってしまった!慌てて、離れる。 「アデル様は怪我をしなかったですか!?」 「いや、オレは大丈夫だ。おまえ、痩せすぎじゃないか?軽いし、細すぎる。……ちゃんと食べていたのか?」  えっと……ここはドキドキするシチュエーションじゃないの!?アデル様はなぜ私の健康チェックしているのだろうか? 「……しっかり3食、食べてます」  その私の答えに珍しく無表情のアデル様の眉が微かに動いて眉間にしわがよった。  孤児院の食事は質素で、量も十分とは言えない。どうしても足りない時があった。私は小さな子に優先的にあげたくて、自分の分を抜くこともしばしばあった。私は丈夫な体を貰ったのだから、そんなに食べなくても体力もあるから平気だ。少しだけ……ほんの少しだけ同じ年代の娘達よりは痩せてはいるかもしれないけど……。 「夕食へ行くぞ。栄養をとるんだ」  そう言って、私の手を掴んで、食事の部屋へ向かうアデル様に驚きつつ、ついていく。  メイド達は慌てて、私とアデル様を追いかける。  そしてその日から、私の食事は肉に魚に分厚いハム、何種類もチーズ、大きいパンに煮込みスープなど……超豪華な物になったが、食べ切れず残すのも、もったいないため、やはり元に戻してもらった私だった。  私を子豚にするつもり!?と極端な旦那様に冷や汗ものだわ。  本当は贅沢なものには慣れている部分もある。だけど、それが当たり前だった前世とは違う。飢えることや足りないないこともあることを知ってる。食べ物も着るものも無限にあるわけじゃない。  私、前世では見えなかった世界を今は見ている。それは人として大切なものであるような気がしたのだった。
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