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名器と言われる絵皿(1分で読める小説)
変化したと言っても、大きくは変わってはいないのだが、
皿の周りがくすんでいる。
毎日、表面を綺麗に拭いているのに、くすんできている。
…毎日磨くのが逆効果かも知れない。
絵の色が禿げてくるのかな?……
と、思っていた。
ある日、画家である星太郎が僕の家に訪れてきた。
そしてこの絵皿を見て驚きの声をあげた。
「君、この絵皿どこで仕入れたんだ?・・・」
「ある雑貨店だけど、なんでそんな事聞くの?」
「この絵は凄いね。見る人を惹きつけるよ。
う〜んマンダム」
「そうかな、僕には普通の絵に見えるけど・・・・
それと、この絵は変化していくんだって」
「変化するって、何?どんな風に変わるの」
と、星太郎は不思議そうな目をして聞いてきた。
「お店の人の話だと、この絵は変化するらしい。
この絵皿を毎日拭いているんだが、
絵がくすんできたんだ。
だんだん、汚くなっていくんだ。
磨きすぎかな?」
「くすんだと言うよりも、色が変色したんだよ。
きっと、安い絵の具を使ってあるんだよ。
でも、絵は上手いよ。これを描いたのは、
きっと無名の画家だと思うけど、
将来は名画家になるかも知れないよ。
大事にした方がいいよ。
ところで、この女の子はカッパかな?」
「カッパ?・・・・。」
僕は今までカッパとは思わず、
人間の少女と思って見ていた。
だが、
「そう言えば、カッパに見えるな〜」
と、星太郎の言葉を肯定してしまった。
次に続く
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