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街中を歩いていれば路地裏からこちらを見ている男が居て、俺はそちらへと歩みを進めた。何度も作中で見た男…細身で髭を生やしている黒いローブを纏った男で、エリザベスがニーナへの嫌がらせを頼んだり毒を仕入れたりしていたのがこの男。
「今日はどうしましょうか」
「いや…もういい。そういうのは…やめる」
「良いんですか?そうですか…」
男は不敵な笑みを浮かべてその場から消えるように居なくなった。これで少しは俺も延命できるか?路地裏から出てまた街中を歩いてゆく。
相変わらず視線は冷たく、居心地が悪い事この上ない。足早に帰り部屋へと篭っていたが、昼食の為に食堂へ行くといつものように食事は用意されていたが三人の姿がない。
とりあえずさっさと食べて行こうと思っていれば三人が入ってきて、食卓へついてニーナはいただきますと言ってから食事を始めていた。
すぐ食べて席を立ち上がればニーナが咳き込んでいて、立ち上がり血を吐いて倒れてしまった。レオンハルトは急いでニーナを抱き上げ厨房へ向かい、残された俺はアレスにまっすぐ見つめられている。
「俺を…騙したのか」
「ち、違う!俺じゃない!!信じてくれ!!」
「言い訳は無用。やはり信じた俺が愚かだった」
アレスは俺の元まで来て俺の腕を掴みどこかへ引いてゆく。抵抗もできず引っ張られた先は屋敷から離れた場所にある町外れの厳重な警備の建物で、警備兵が道を開ければ中へと進み更に地下へと降りてゆく。
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