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「まさかそんな事が」
「いやぁ…俺も信じられないが…」
俺の言葉を聞きアレスは剣をしまい口元に手を当てていて、俺は視線を逸らしながら頬を掻いている。俺が元男で事故死してこのエリザベスに転生したなんて、俺が打ち明けられた側でも信じないとは思う。
その時微かな金属音がしてアレスを見れば、俺が手に取ろうとしたネックレスがぶら下げられている。
「これ…」
「強欲なお前が…いや…別人なのだから当たり前だが、唯一見ていた物だろう」
俺が手を出せば手に乗せてくれて、俺はそのネックレスを見つめた。これはどういう意味だ?後から請求書渡されるとかか?なんて思っていれば手から取られ、背後に回られネックレスがつけられてゆく。
「で、でもこれってニーナへ」
「ニーナは他にも沢山買ってやった。だからお前にも買ってやる」
付け終わったのか離れられたので、俺は振り向いて嬉しくて笑を向けていた。誰かからのプレゼントなんて久しぶり過ぎるし、こんな高い物なんて嬉しくないはずがない。
「あっ、でも俺…返せる物が…」
「期待はしていない。する気もない」
俺の隣を通り抜け、どこかへ…たぶんニーナの元へと歩いて行ってしまった。部屋へと駆け戻り姿見の前でその宝石を見つめながら、にやけてしまう。大切にしよ。
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