第一章〜カレー味の行き先(雅)

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3 こことは違う、ずっと海の向こう。 そこに、自分の愛するべき場所がある。 幼すぎる自分は、その地で守られてばかりだった。 今も、あの頃と同じ。 それでも、心の奥に灯っているもの。 無邪気で今も変わらない、一途さで。 自分の手で、大切な人たちを守りたい。 そのため、自分の全身全霊を捧げていきたい。 純粋な、揺るぎない願い。 たとえ、どんなに世界が変わってゆこうとも。 持ち続けている希望、捨てられない願い。 それさえあれば、きっと。 これからも真摯に前を向いて進んでいける。 たとえ、何が起きたとしても。 自分らしくある限り。 守るべきものを守るために。 心の芯に刻みつける。 大切な宝のような縁のために。 とても切なく、もどかしいくらい。 確かな自分の灯火。 繊細すぎるほどの諸刃の勇気、持ち続けること。 ずっと忘れずに、何があっても捨てないこと。 それが、細やかな自分のプライド。 自分自身の弱さに。 嫌悪して負けないためのキーワード。 心奥底の叶わぬすべては、多々ある。 それはつきることないままながらも。 すべては止まることはなく、動きはじめてゆく。 まぎれもなく、宿命を伴う現実。 自分へ降りかかったことは、夢ではない真実。 絶望の果てにある指針。 それでも儚いながらも希望。 どうしても叶えてみたいこと。 今、自分の心の鍵を解き放ち、祈る。 儚い願いを叶えるために。 それゆえ全てを受け入れていくーー。
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