第一章〜カレー味の行き先(雅)

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4 天に輝く銀色の月、有羽はじっと見つめた。 その月の魔力に身を委ねてゆく。 そっと心に誓いをこめて、有羽はゆっくりと深呼吸をしていた。 夜は深く、春の冷たい風が柔らかな有羽の頬を撫でる。 そんな、静寂な中。 全身の毛が粟立つような気配に、有羽は目を見開く。 「あっ!」 きつい麝香、それが有羽の鼻についた。 何かにからめとられるように、華奢な全身を生ぬるい感触が、ゆっくりと這ってゆく。 有羽は、それを懸命に払おうとした。 だが、なぜか身動き一つできない。 次第に、目がちかちかしてゆき、有羽は強烈な目眩を感じてゆく。 視界が、ぐらりと、大きく揺れた。 有羽の力は、頭の先からいっきに抜け落ちてゆく。 重くなった瞼とともに、有羽はその場へ崩れ落ちたーー。
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