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それから数週間後。
刃傷事件があった茶屋のお座敷の一つでは、見るも華やかな宴がもようされていた。
上座に座るは扇屋の珠代花魁と葵屋の鈴香花魁。そして、その横には雛菊が座し、二人の花魁に酌をしつつ、話に花を咲かせている。
吉原を代表する花魁の饗宴に、旦那衆の姿は見えない。そう、この酒宴の主人は、雛菊。
心をとしたもてなしに、雛菊の窮地を救った二人の花魁の顔も綻ぶ。
そして、美しくも粋な三人の花魁の饗宴に花を添えるは、あの事件をきっかけに花ひらいた菊花の優美な舞だった。
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