守護者の石

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「さあて、気分良く飛んで来たのはいいが(エックス)よ、うちの黒服は面倒だぜ?入場料金は持ってるのかい」 非常事態宣言を受けて、地球の周囲には幾重にも広域電磁バリアが張り巡らされている。 この強力な用心棒を、わざわざ危険を冒して正面から突破しようとする侵略者は滅多にいない。あの手この手で解除させようとする。隙を探って忍び込んで来る。 しかし、今宵現れた招かれざる来訪者、(エックス)達は少数派だった。 なんと彼等はバリアの手前で宇宙船(ふね)を停止させ、宇宙の中へ防護スーツも着ける事無く飛び出したのだ。 その姿は半個体、半液体のアメーバ状であり、数本生えた角と触覚以外は不定形の様だった。 その体を波打たせて真空の暗黒空間を泳ぐ様にバリアに接近、あろうことか実体を持たないはずのバリアの表面にぴたりと吸い付き、嬉しそうに吸収を始めたのだ。 「こりゃあ凄え。ここはパーティ会場じゃなくてレストランだったのか」 その時、見上げるアラシ達の電子頭脳に直接語りかけて来た思念がある。 『海と緑に包まれた美しい星に住む皆様、ご挨拶が遅くなって申し訳ない。 我々は君達がキノタンと呼ぶ星雲の、バッグイという星からやって来た。 私はノラム。この船団の戦闘部隊長を務めている』 『キノタン星雲!?遥か彼方もいいところだ!』 ズートル博士が驚きの声を上げる。 「我々の祖先が以前こちらを訪れた時は、この星は汚染し尽くされた赤黒い星だったそうだ。 それまで支配していた「ヒト」と呼ばれる高等生物が、自らが招いた汚染の為に滅びた直後だったらしい。 それがどうだ、海は青く緑は輝き、まるで宝石の様ではないか。こんなに美しい星を私は見た事がない。 死にかけていた惑星の環境をここまで見事に改善させるとは。まさに奇跡の星だ」 ここでアラシが空へ向かって大声で思念に応えた。 「ノラム殿!我らが母なる星へ最大の賛辞をいただいた事に感謝する! だが、地球を代表して誰もが知りたい事を聞かなくてはならない! あなた方がここに来た目的は!?」
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