守護者の石

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とても知的生物とは思えない姿の彼等だが、宇宙にこちらの常識は通用しない。会話の内容から地球より進んだ文明の持ち主であるらしい事が分かる。 その上、防護スーツも無しに宇宙遊泳が可能、電磁バリアも通用しない肉体の持ち主が三千も待機しているのだから、ズートル博士は生きた心地がしない。 『安心して欲しい。我々の目的は侵略ではない。 我らが母星バッグイから遥か遠くのこの星を侵略して何の意味があるだろう。双方に(おびただ)しい数の犠牲者が出ると分かっているのに。 理由も無く星と星とで戦争をする程、お互い愚かではないはずだ。 ……いや、やはり我々は、私は愚かなのかもしれない。 実は、ここに住むという無敵の戦士の噂を聞いてやって来たのだ。 あの恐るべきマノースン星人やキマスイ星人を始め、どんな強大な侵略者も排除して来たという勇者の噂を。 名前をアラシと言うらしい』 突然のご指名にさすがのアラシも驚いた。 「おやおや、俺様も有名になったもんだ。 給料上げてくれないかな」 『我々もキノタン星雲では最強を自負しているのだ。アラシ殿、誇り高きバッグイの戦士を代表してあなたに挑戦する。是非このノラムと手合わせ願いたい。それが望みだ。 決着がつけば勝敗に関わらず我々は退却する。例え私が命を落とす事になっても、それを理由にこの星を攻撃する事などないと約束しよう。 プライドを賭けた一騎打ちだ。受けてくれるか?』
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