守護者の石

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「ノラム殿、そういうのは愚かとは言わない。 『イカレてる』という悪い言葉を、褒め言葉として使うのがこんな時だ。つまり、表現する言葉がない程カッコいいって事さ!」 口約束でごく簡単に賭け事のコイン代わりに使用されるが、換金は不可能。時には邪魔になる事もある。 しかし命より重く、計り知れない価値があるもの。それがプライドだ。 そして指名されたアラシには母なる地球の誇り(プライド)が賭かっている。 母を見捨てて無様に逃げ出す等、それこそアラシに搭載された個性が、プライドが許さない。 「ここで退いたら一生の恥、いざ尋常に勝負! ノラム殿、武器は?」 『お互い信頼出来る武器を手に一つだけ、としよう。私はこの聖剣『ニャジーズ』を。キノタン星雲に伝わる星斬りの剣だ』 『待て!待つんだアラシ!』 「待ってください隊長!」 ズートル博士と周囲の隊員達の静止も聞かず、アラシは右手のグローブの甲にある幅五センチ程のカプセルを開き、その中に白い石をセットした。 よく研磨されてキラキラしているが、普通の石にしか見えない。 『俺の武器はこれだ! みんな!もし何かあったら、後は頼むぜ』 やがて、電磁バリアを難なく抜けて、ノラムが上空に現れた。一目で業物と分かる長く大きな剣を従えて。 アラシは頬から笑みを消して、反重力装置をオン。未知の強敵に向かって真っ直ぐに飛び立って行く。
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