alone

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「お前、算数もできねえの?」 「え?」 「昨日、使った分、なんで入ってないの」 「え? だって、昨日は二人でご飯食べに行ったぶんだけだよ、使ったの」  男は、舌打ちした。 「食費は、全部お前持ちって言ったじゃん。オレは、自腹で経費まかなってるから、家賃しか払わねえって言ったじゃんよ」 「でも、外に食べに行こうって言ったのは……ぐっ!」  男の拳が、ルナの腹に入っていた。 「あちゃー?!」  死神は驚いてみせたが、口角が愉快そうに持ち上がっていた。  本当に彼も根が腐っている。    よろめきながら彼女はぼろぼろと泣き出した。 「……ごめんなさい。ほんと、ごめんなさい……」
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