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すると男は豹変した。
「ごめん。思わず、やりすぎた」といって、彼女の肩を抱いた。
死神はそれも面白かったらしく、
「謝るぐらいなら、初めから手え出すなやって話だけどな♪」
といって、ケラケラと笑い出した。
彼女が何度か男の胸の中で頷くと、男は「だけどさ、お前も悪いんだからな」と言って聞かせるように付け加えた。
そのやり取りに僕は苛立ち、そして怒りさえも通り越して、めまいさえしてきた。
「どうする? もうやっちまっていいか?」
死に神は訊いてきた。
たぶんこの男ではなく、やはり彼女のことだろう。
が、このまま男が無事で、彼女が命を失うという道理なんてない。
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