alone

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 僕は、もう我慢が利かなくなった。  彼女とは、小学校6年生のときにはじめて出会った。  以来、中学校に上がっても、頑張って彼女と同じ高校に入っても、ずっと彼女のことを見つめていたから。  そんなふうにして、僕は、他の誰よりも長く深く彼女のことを想ってきたから。  とっさに、辺り一帯を見回した。  ここらにいる中で一番腕っぷしの強そうな中年男に乗り移り身を翻すと、のしのしと肩で風を切り、彼に歩み寄った。  目が合う間もなかった。  右の平手で彼の頬を張った。 「え?」  彼は驚きで目をぱちくりさせた。  続けて、左の拳を空いている腹に叩き込む。 「はがっ?!」  彼は前のめりになり、よろめいた。  その足をすくうように、今度は鋭く右足を入れた。 「……!」  ついに彼は路上に転倒した。  僕はさらに、頭を抱えて倒れ込んだ彼の背中や腹に、左右交互に何度も蹴りを入れた。 「!」「!」「!」
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