alone

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「聞けば聞くほど、ひでえ話だな」  唐突に声がした。  びっくりして、さっと振り向くと、すぐそこに黒いマントで身を包んだ若い男が立っていた。  同色のシルクハットで決めて紳士風に見えたが、その両目が鬼か悪魔と形容したくなるくらい、血走っていて、やたらと鋭く吊り上がっている。  それと視線が合うと、彼は真っ赤な唇の端を持ち上げて歯を見せた。 「まいどおなじみの、死神さんってやつよ♪」    そういうのがいるとは子どものころから聞かされていたが、初見でそう言われても困る。  彼は、とまどう気持ちを見透かしたのだろう。フヒヒ、といかにも愉快そうに笑ってみせた。
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