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その人が亡くなるときに現れるという死神だが、ここにいるのは街灯の下で彼と待ち合わせているルナだけ。
目的は彼女なのだろうか。
たしかにもう数か月も虫けらのように扱われた彼女の身体は、まだ二十代前半と若いのに朽ち果てようとしている。
途切れそうな意識の中で街の風に当たりながら、ふらついて立っているさまは、すでにこの世の人でないといってもよかった。
が、ここで命を奪われるなんて、そんな理不尽もないだろう。
あの男と出会わなければ、彼女は上京二年目の、悩みながらも希望に生きる女性だったはずである。
「理不尽は、人の世の常だがな♪」
死神は、ヘラヘラとしながらいった。
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