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「この女じゃねえけど、俺も今日の頭数のノルマがあるしさー」
彼は、ぬけぬけとそのようなことを口にした。
思わず、にらみつけてしまう。
それなら、これから現れるあの男で間に合わせろ。
そう言いたい。
それは死神も思ったらしいが、ただあの男は”不適合”なのだ、といった。
同業者が増えて商売にならないからだという。
悔い改めない人間をそのまま冥界に送り込んでしまうと、そういう類の人間は死神か良くて背後霊にしかならないそうだ。
あの男の資質からして背後霊になってねちねちと人を追い込んで自己満足に浸るよりも、自分のために、すっぱりと人を切り捨てることができる死神になって報酬を狙う方が向いているのだとか。
たしかに。
そこは否定しない。
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