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すると急に手首を掴まれて引き寄せられ、至近距離に…綺麗な顔が…。
「…次期社長って言うと目の色変える子ばっかなのに…琴音は違うんだぁ」
新鮮…と言われ、不意に近づいてきた唇に、口づけられてしまった。
「…ちょっ…と!」
思い切り胸を押して離れ、そのままトイレに駆け込んだ。
なに?キスって御曹司の間では挨拶なの?
誰も彼もチュウチュウと…!
もう帰りたい…けど、せっかく開いてくれた送別会。
先に帰るなんて言えない。
…こんな時響が来て、有無を言わせず連れ去ってくれたら…なんて、一瞬頭をよぎってしまう。
…………
玲のせいで居心地が悪い送別会になってしまった。
二次会だ〜…なんて声がかかるけど、私は明日早いということにして、離脱することを伝える。
見ると、玲は二次会組の方にいてホッとする…と同時に、何となく腹が立った。
だって…不意打ちでキスするってなに?
こっちの意向も聞かずに失礼じゃない?
私は無意識に、二次会組が歩き出す方に向かってツカツカ歩いていった。
「…玲!」
…そこにいた皆が振り返る。
「さっきの、謝ってくれない?」
「なんで?皆喜ぶのに…」
玲がニヤニヤするから、自然と私の怒りも強くなる。
「…全員が全員、そうじゃない!
別に、就職してから意地悪されてもいいよ?でも、FUWARIコーポレーションは、そんなこと許さない会社だって信じてるから!」
まだニヤニヤ笑ってる…。
胸ぐらでも掴んだろか?…と思いながら近づいていこうとすると…
「わかった…!ごめんね。琴音」
正面を向いて、頭を下げた玲。
急に素直になるから調子が狂う…
「それと…琴音のこと、ホントに好きだわ。」
…は?
皆が聞いてる前で、なに言ってるの?
「初めて見た時から可愛いと思って…つい意地悪しちゃったけど…本気で好きになった」
ニコニコ顔で言われても困るんだけど…と言おうとしたけど、玲は軽く手を挙げて、二次会組と歩いて行ってしまった。
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