5.知られてしまった秘密

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すると急に手首を掴まれて引き寄せられ、至近距離に…綺麗な顔が…。 「…次期社長って言うと目の色変える子ばっかなのに…琴音は違うんだぁ」 新鮮…と言われ、不意に近づいてきた唇に、口づけられてしまった。 「…ちょっ…と!」 思い切り胸を押して離れ、そのままトイレに駆け込んだ。 なに?キスって御曹司の間では挨拶なの? 誰も彼もチュウチュウと…! もう帰りたい…けど、せっかく開いてくれた送別会。 先に帰るなんて言えない。 …こんな時響が来て、有無を言わせず連れ去ってくれたら…なんて、一瞬頭をよぎってしまう。 ………… 玲のせいで居心地が悪い送別会になってしまった。 二次会だ〜…なんて声がかかるけど、私は明日早いということにして、離脱することを伝える。 見ると、玲は二次会組の方にいてホッとする…と同時に、何となく腹が立った。 だって…不意打ちでキスするってなに? こっちの意向も聞かずに失礼じゃない? 私は無意識に、二次会組が歩き出す方に向かってツカツカ歩いていった。 「…玲!」 …そこにいた皆が振り返る。 「さっきの、謝ってくれない?」 「なんで?皆喜ぶのに…」 玲がニヤニヤするから、自然と私の怒りも強くなる。 「…全員が全員、そうじゃない! 別に、就職してから意地悪されてもいいよ?でも、FUWARIコーポレーションは、そんなこと許さない会社だって信じてるから!」 まだニヤニヤ笑ってる…。 胸ぐらでも掴んだろか?…と思いながら近づいていこうとすると… 「わかった…!ごめんね。琴音」 正面を向いて、頭を下げた玲。 急に素直になるから調子が狂う… 「それと…琴音のこと、ホントに好きだわ。」 …は? 皆が聞いてる前で、なに言ってるの? 「初めて見た時から可愛いと思って…つい意地悪しちゃったけど…本気で好きになった」 ニコニコ顔で言われても困るんだけど…と言おうとしたけど、玲は軽く手を挙げて、二次会組と歩いて行ってしまった。
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